腎臓外来とは
腎臓外来は、お子様に起こりやすい腎泌尿器疾患を対象とした診療科です。血尿や蛋白尿がある、糸球体腎炎(急性、慢性)や尿路感染症などが疑われるという場合は、診察・検査・治療などにより診断を行います。
小児でよくみられる腎臓疾患
急性糸球体腎炎
急性糸球体腎炎とは
のどの痛みを引き起こす咽頭炎や扁桃炎といった感染症を発症した1~3週間後にみられる疾患です。主な症状としては、腎臓の炎症により尿が出にくくなるほか、まぶたの腫れ、体のむくみ、血尿、高血圧などがあげられます。小児(なかでも幼児期~学童期の男子)によく見受けられますが、成人や高齢者にも発症することがあります。
治療について
むくみや高血圧の状態を改善のため、まずは安静にし、塩分の摂取制限を行います。また急性期では原因となる溶連菌感染などに対して抗生物質を投与するほか、高血圧に対して降圧薬と利尿薬が使用されることもあります。これらの治療により、大半は完治するようになります。
慢性糸球体腎炎(慢性腎炎)
慢性糸球体腎炎とは
慢性糸球体腎炎は、たんぱく尿や血尿が1年以上続いている状態です。発症の原因は完全に明らかではありませんが、免疫反応の異常によるケースが多いと言われています。なお慢性糸球体腎炎とは総称で、その原因で最も多いとされているのが「IgA腎症」です。これは腎臓の糸球体にIgAというたんぱくが沈着する疾患で、学校健診での検尿によって早期に発見されることが多いです。
治療について
治療は、薬物療法(抗血小板薬、抗凝固薬、降圧薬、副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤など)が中心となります。成人で行われている食事療法(塩分制限・たんぱく制限など)は、小児では成長を妨げるなどのデメリットが大きいため実施しないことが多いです。また日常生活では腎臓への負担を軽くするため、スポーツなどによる激しい運動や過労(マラソンや高山への登山、潜水など)を避けるようにします。
ネフローゼ症候群
ネフローゼ症候群とは
ネフローゼ症候群とは、大量のたんぱく質が尿中に漏れている状態のことです。これにより血中のたんぱく濃度は低下し、コレステロール値が上昇してしまいます。主な症状としては、まぶたが腫れぼったい、腹囲が大きくなる、全身がむくむ、尿量が少なくなるなどです。さらに進行すると腹痛、下痢、食欲不振などがみられるようになります。
治療について
治療で最も有効とされているのが副腎皮質ステロイドの使用です。効果は強いですが、ステロイド薬には副作用があります。長期に使用する場合は、副作用の出方に十分注意をする必要があります。ステロイド薬が長期になりすぎたり、効果が弱い場合は免疫抑制薬を使用するようにします。
尿路感染症
尿路感染症とは
尿路(おしっこの経路となる腎臓、膀胱、尿道)が細菌(大腸菌など)に感染することで、尿が濁る、血尿が出ているなどの症状があると尿路感染症と診断されます。
膀胱にのみ感染している場合は「膀胱炎」と呼ばれ、頻尿、排尿時の痛み、残尿感といった症状が現れます。また腎臓に感染している場合は、「腎盂腎炎」などと診断されます。この場合は、発熱や背中に痛みといった症状があります。
治療について
水分を多量にとり、尿をできるだけ我慢しないようにします。また細菌の感染が原因という場合は、抗生物質の内服、もしくは点滴による治療を行います。
検尿異常
検尿異常について
乳幼児健診や学校健診などで行った尿検査でおしっこの異常が見つかった場合、一度医療機関をご受診ください。検査の結果なんでもないこともありますが、上記で紹介したような腎泌尿器疾患の可能性もあります。これといった症状が出にくいのが腎臓の病気の特徴なので、そのまま放置が続けばさらに進行させる結果となり、症状が出て気づいた頃には相当程度腎臓が傷んでいたということも珍しくありません。そのため、早期発見、早期治療が大変重要です。